はじめまして、佐相宏明です。

学生トライアスリート佐相宏明の試行錯誤の記録です。

一年ぶりの皆生。

7/16「全日本トライアスロン皆生大会」

 

合計10時間50分54秒(総合167位)

スイム3.0km/44分08秒(8位)

バイク140km/5時間49分12秒(456位)

ラン42.2km/4時間17分34秒(112位)

 

昨年に引き続き全日本皆生大会に参加した。また表彰台に乗りたくて臨んだ大会だったが、バイク28kmでのメカトラにより順位を求めるレースではなくなった。レースにトラブルはつきもので、もしこのメカトラがなくても別のアクシデントに見舞われたり、脱水などのトラブルに遭遇していたかもしれないと思うようにしている。メカトラからの復帰をはじめ、様々な人の手助けのおかげでなんとか完走でき、またトレーニングの成果も確認できたので、トラブルから復帰して炎天下の中で長時間レースをするという選択は悪くなかった。

 

 

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暇な学生の特権を行使して飛行機で木曜入り。もっともこの大会は土曜入り→月曜祝日帰りができ、スケジュール面での負荷が小さい。社会人になってからも出られるロングの大会の筆頭だろう。

 

木曜日は持ち物の確認や、近くのスーパーでの買い出しをする。大会本部は駅から徒歩3分、ビジネスホテルや量販店、飲食店も充実していて、離島での大会に比べてレース前の時間を過ごしやすい。金曜日は朝から少しだけバイクに乗り、地元のテレビ局の方と話をして、夕方には生放送に出させてもらった。その際に紹介してもらった大連という中華屋はトライアスリートが集まることで有名だそうで、良心的な価格設定とボリューム、そして優しい味が特徴だ。駅前には居酒屋が多いけど、レース前に食事をするところに困っていた。結局、金曜夜、土曜昼、土曜夜と、3食も通うことになる。

 

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土曜日は登録と開会式、出場するチームメイトはここで合流する。今回は招待選手ということで最前列に座ったのだが、なぜかやつらはその後ろの「招待選手家族席」に座ってニヤニヤしていた。終始ニヤニヤだった。

 

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周りを見渡すとやはりそうそうたるメンバー。昨年3位の谷選手を除き、2位の嶋選手を始め表彰台勢が勢揃い。優勝の最有力候補は過去2回優勝の吉村選手だろう。また一般参加選手でもラン3時間を切る選手が複数いるということで、レベルの高いレースになることは間違いない。

 

当日は4時起きでレース会場へ。会場まであと1kmというところでチームメイトがパンク、会場到着後に修理中にチューブを破裂させてしまい大爆音が響く。会場が一瞬騒然とする。自分ともう1人のチームメイトは腹を抱えて笑う。身を挺して緊張をほぐしてくれるとはなかなかやるもんだ。

この1週間は特に睡眠を多くとるように気をつけてきて、安静心拍数は40を切る日が続いていた。しかしレース当日は45ということで、やや倦怠感もある。前日夜の食事が少し多かったか。レース前の体調管理には細心の注意を払うもので、特に今回からは西川AiRのポータブルマットレスを持ってきている。自宅で使用している据え置きタイプと遜色ない眠り心地で、これはいいと思った。

 

スタートの40分くらい前に入水しウォーミングアップ。水温が高くロングジョンの選手も多く見られるが、Hi-RIDGEのオーダーメイドツーピースフルスーツで挑んだ。スイムにかかる時間は45分程度であり、適切にケアをしていれば熱がこもって脱水する心配もない。どうしても暑ければ、集団に対する位置を見て折り返し上陸地点で一回水を流し込んでもいい。フルスーツの方が浮力面でのメリットが大きいし、肩まわりの可動域は十分に確保されている。背泳ぎをしてみると、身体の前面で非常にスムーズに肩が回ることに気がつける。

 

海水でのレースということもあって立ち泳ぎはそこまで苦にならない。独特の緊張感の中、スタートホーンがなって先頭から2列目でスタートする。前にいるのは吉村選手なので、間違いなく自分の前のスペースが空くポジションだ。スタートから200mの第1ブイを回るころには大分集団が小さくなり、海岸線と平行に泳ぐ区間に入ると5人程度の集団になる。1,2番目をラクなペースで泳ぎ、落ちてくる人を拾っていく。進路が120度転換し、浜が近づいてくるころに河原選手を確認、まずまずのペースである。折り返し地点では20分台と想定通りのペースで後半戦へ。2000m手前で後ろから追い抜かれ、余力があったのでこの選手についていく。一緒にスイムアップすることはできなかったが、もともといた集団とは30秒ほどの差をつけることができた。Hi-RIDGEウェットスーツを脱ぎ、薄い靴下を履きながらTopSpeedとPowerGelを補給する。トランジットで1名を回収しバイクに飛び乗る。

 

タイム面では昨年度の皆生大会とほぼ同じだが、ロスが少なかったように感じている。昨年はバイク序盤で気分が悪く、レース続行ができるか大いに不安だった。宮古島大会のデータと比較すると、ペースをややあげることができた(1’32”/100m→1’30”/100m)上に、平均心拍数を3%程度下がっている(183bpm→178bpm)。バイクとランを後ろに控えながらも、レース展開を左右する役割を担っているのがスイムパートであり、「力を使わずに」「速く」泳げる状態に近づいていることは大きな前進である。

 

 

バイク後半70kmは長い上りと下りを繰り返す。それに比して前半70kmは「平坦」と表現されることもあるが、実際にはこちらもかなり骨の入ったコースだ。

今回の方針を一言で表現するなら「がんがんいこうぜ」である。今までは常に「いのちをだいじに」だった。しかし3ヶ月後のハワイでそんなことを言っていたら順位を争うようなポジションでのレースはできない。なので、今回、特に後半70kmではある程度のリスクを負ってでも、しっかりと前を追っていく。例えば下りではトップチューブに座るタイプのDHポジションをとるし、上りで少し高い出力が出ても維持していく。

とは言いつつもバイク開始直後から飛ばしていくのは無謀なので、PowerGelの梅味とレモンライム味で補給しつつ、実際の出力と感覚をすり合わせることに努める。推定FTPは300W弱なので、前半区間の目安は200Wある。同じ出力でもスピードが出るポジションを確認しながら進んでいく。

およそ28km地点、ここで前の河原選手が近づいてきた。バイク乗車直後に追い抜かれてしまい、およそ20秒程度差が広がっていたが、このままなら回収できそうだ。そして下りが上りに切り替わったその時だった。出力を上げた瞬間、明らかに異常な音がして、ペダルからの反動にも変化が出る。ホイールの回転ごとにカラカラと音がするし、チェーンからも異音がする。後輪を見ると、ディレイラーがあらぬ方向を向いている。迷わず停車、チェーンが離脱し、ハンガーも歪んでいる。後に判明するスポーク折れと併せて、自力での修復・レースへの復帰が到底困難と判断し、オフィシャルメカニックの方の到着を待つことにする。停車するや否やボランティアスタッフの方が駆けつけてくれ、本部に電話連絡を入れてくれる。休憩可能なポイントまでに徒歩で移動すると、近隣住民で応援してくれている方々がぞろぞろと集まって来てくれる。30年近く大会観戦してくれているおばあちゃん、旦那さんが皆生出身で、出産に併せて義理の実家に戻っている臨月の妊婦さん、農作業の傍らで沿道にかけつけてくれる農家さん、地元の方が協力してくれていることをひしひしと感じる。知り合いが出ているという人もいたが、イベント自体を受け入れてくれ、自分たちも楽しみながら、盛り上げてくれていると感じた。こんな機会なんでーと1.5時間の待ち時間中に集合写真も撮った。

 

この地域にトライアスロンが根付いていることを実感できた時間であったが、同時に大会が地域の機能に支障をきたしていることを再確認した。その上でもイベントを受け入れてもらえるよう、選手には選手なりの努力が必要だと思う。

例えば交通規制をすれば渋滞が発生するし、規制区間で商売を営んでいるような人にとってこんな迷惑な話はないだろう。地元の警察、消防に協力を要請するのであれば地元の安全維持や救命機能を犠牲にすることになる。

そういう状況で選手ができる地域への貢献として真っ先に挙げられるのは、その地域でお金を使うことだろう。レース後に温泉に浸かり、美味しいものを食べてから帰るのはせめてもの地域への還元である。土産物を買い込んで、その地域のPRに貢献するもよし、レースとは別の機会に観光で訪れるのもよしだ。

 

メカニックの方が駆けつけてくれ、遂にレース復帰可能な状態になる。この時点で既に1時間半を失っており、順位争いをするのは絶望的である。この先どうするのか、選択に迫られていた。

 

つづく