2017年アイアンマン世界選手権遠征記①ー「持てる者と持たざる者」
自分にとって海外遠征とは孤独な珍道中だ。2年前にコナに初めて参加した時は、レースをしに行ったはずなのに、世界のおばちゃんたちに救われる旅となった。今回のコナを獲得した時の台湾遠征は、いつのまにやら孤独な(言葉が通じないから・・・)グルメの旅になった。
ところが今回は賑やかな珍道中であった。なんと遂に海外遠征をともにする仲間ができたのである。
エース栗原:Lifeblood鍼灸マッサージ院サポート選手。デュアスロン現日本チャンピオン。トライアスロン・デュアスロンといえばこの人。4月のアイアンマン70.3Linzouで権利獲得。お米は柔らかめが好き。
一本松静:Lifeblood鍼灸マッサージ院サポートサポート選手。本年度宮古島女子3位。同じく4月のアイアンマン70.3Linzouで権利獲得。無限リピート。お米は硬めが好き。
3人とも飯田橋のLifeblood鍼灸マッサージ院のサポート選手ではあるが、日頃の絡みはほぼ皆無。入れ替わりで治療していただく時に「うぃ~っす!」ってなるくらい。初顔合わせは渡航前日の壮行会であった。
10/7 18:00
八丁堀の「一汁三菜イタリア~の」にてエース主催の壮行会。オーナーでシェフの秩父力さんはアスリートフードマイスターの資格をお持ちで、身体にも口にも嬉しい食事をいただいた。ごちそうさまでした。
ひとまずこの時点でお互いに顔と名前と声色と年齢が一致。最年少の僕は、以後「佐相おじさん」と呼ばれ続けることになる。
10/8 20:30
羽田空港にいち早く到着。自転車は特別手荷物として1.5万円で受託。さらに預け荷物2つを預けようとすると・・・
ハワイアンGS「自転車を一つ目の荷物としてカウントしますので、お客様がお預けいただける荷物は1つです。追加の荷物に関しては1.5万円の追加料金が発生します」
・・・え?まじ?
片道1.5万円で往復したら新しいマットレスが買えてしまうじゃないか。宅急便で自宅に送り返すか。ひとまずここは撤収して作戦を考える。
OBの須田さんにお借りしたバイクケースを開いて格闘すること30分、1Lの汗と引き換えにハワイでの睡眠を勝ち取る。西川のマットレスで寝られるのは大きい。
胸を張ってチェックイン、その次はバイクの検査へ。通常のX線検査機を通過することができないサイズなので、乗客立会いのもと、検査員の目視による検査が行われる。検査員によるのだが、大抵は局所的なチェックで検査が終わるものだ。
しかしいざ検査場に行くとやや不穏な空気が。正確には、検査官2人の空気が、どこか重たげである。
検査官1「荷物を開封させていただきますね」
検査官2「」
佐相「はいどうぞ」
次々とバラバラになっていく我がバイクケースの中身。
・・・え?まじ?
検査官1「これはなんですか?」
検査官2「」
佐相「プロテインです」
検査官1「これはなんですか?」
検査官2「」
佐相「洗剤です」
検査官1「(クンクン)確かにいい匂いがしますね」
そりゃあそうだ。末端価格数百円の洗濯洗剤だもの。
ということで前日に芸術的なバランスでパッキングしたバイクケースは、なんと羽田空港で木っ端微塵にされてしまった。何たることや。
しかしこんな目に合うのは自分に限った話ではないだろう。後から来るエースやぽんさん(一本松さん)も、1Lくらいの汗をかきながら30分かけて受託荷物を1つ減らし、検査場で荷物を隅々までバラバラにされるのだ。俺はその目撃者になるのだ。
なんて思いながらタラタラと数時間ぶりの荷造りをしていると、遂に二人が自転車の検査にやってきた。
佐相「荷物って自転車も一個にカウントされるんですね」
エース「え?自転車は別カウントだったよ」
ぽんさん「私荷物少ないから」
・・・でもここで君たちの荷物は粉々に粉砕されるのだ。覚悟したまえ。
検査官1「X線装置に通しますね。CO2ボンベは入っていませんか?」
エース、ぽんさん「はい、大丈夫です」
X線装置を通過していく二人の荷物。
検査官2「異常ありません」
・・・ありがとうございました!!!!
ということで日本を出国、ハワイアン航空852便に足を踏み入れた3人でした。
つづく