アイアンマン世界選手権遠征記③ーオタクとおじさんとオタサーの姫、ひとつ屋根の下で
10/8 16:00
アップグレードされたレンタカーに乗る我々、まず目指すはコンドミニアムである。
コンドミニアムの売り文句は「繁華街からたった6マイルなのに田舎の雰囲気!」だ。
とある民泊サイトを通じて予約したのだが、出国前日にふと気になることがあり、オーナーのボブ夫妻に問い合わせた。
佐相「鍵ってどう受け取るの?」
ボブ「ハッハッハ、鍵なんていらないんだよ!もし使いたければ隣のタミーに言ってね」
え、鍵がない・・・
ボブ「明日からアメリカ本土にいくんだ。電波が通じないところで過ごすから、何かあればタミーに言ってね」
ああ、君たちはタミーを置いて遊びに行くのね・・・
アイアンマン直前の1週間は、宿泊施設から生活必需品に至るまで、ハワイ島のあらゆるものが値上げされるという。これを機会に、ハワイ島に住んでいる人は島の外に旅行しにいくという話を聞いたことがある。
グーグルマップに従ってジープを走らせるとどんどん内陸に向かっていく。ハワイは火山島である。噴き出したマグマが海に冷やされて固まり、島となっている。つまり内陸に向かうにつれて標高が上がる。「鍵なぞいらん」「繁華街から10km」「やや内陸」、なるほど、絶妙な組み合わせである。
幹線道路から山道に入って20分、道を一本間違えてエライことにもなった。番犬みたいのに食われそうにもなった。
↑この後犬から逃げることになります。必死で。
最後は15%の激坂を登り、我々はコンドミニアムに到着した。確かに直線距離なら繁華街から6マイルだろうな。ヘリコプターかなんか使えば6マイルで来られますとも。
エース「ちょっと寒いね、ここ」
佐相「寒いっす」
海抜数mの空港と比べると、5度くらい気温が低い。そんくらい山奥。
当初の計画では、セダンタイプの車を借り、運転手以外の二人は自走で宿に到着するはずであったが、ここが宿では誰が運転するかで毎朝揉めることになる。免許未取得のぽんさんは、宿に戻る度に酸欠で倒れることになる。さもなくばハワイまで来て引きこもりに変身することになる。アップグレード万歳。
車の音を聞いて家の中から誰かがこっちによってきた。たぶんボブ夫妻に全てを託されているタミーだ。
タミー「ようこそいらっしゃい。家について説明するわね」
タミー「車はここに停めて。キッチンに置いてある果物は自由に食べていいからね」
タミー「バスルームはここ。そっちの扉はあけないでね」
タミー「ガレージにあるものは自由に使っていいわ。」
タミー「洗濯機はここ。好きに使っていいわ」
タミー「」×10
タミー、ありがとう。でも教えてもらったことの95%は右耳から左耳へ抜けていったよ。
17:00
荷物をおろした我々はスーパーに向かう。ここで我々はアメリカンスタイルにいっぱい喰わされることとなる。
ぽん「わ~スイカ!やっすい!でっかい!買おう!」
巨大なスイカがダンボール箱に無造作に放り込まれている。しかも値札を見ると、79¢の文字。こんなにでかいスイカが100円?
↑写真漁ったらしっかりエースもはしゃいでた
エース「79セント!」
佐相「100円ならいんじゃないすか?」
ぽん「わたし決めました!これがいいですぅ」
中でも特に大きいおばけスイカをチョイスしてご満悦のぽんさん。
色々と買い込んで退店。レシートを見るとそこには
”Watermelon $16”
え、16ドル?
アメリカでは、野菜や果物の類は、量り売りが基本なのだ。つまり”79¢”とは単位あたりの価格であって、決して巨大なスイカ1つあたりの価格ではない。初日から2000円近いおばけスイカを買ってしまったのだ。
初日に仕入れたこのスイカ、帰国の日の昼間まで、我々を見守り続けてくれました。やつは常に我々のデザートであり続けてくれました。ありがとうスイカ。美味しかったぞ。もう二度と買わないけど。
↑スプーンでほじくりながら食す
18:00
帰宅。今晩はチキンのトマトソース煮込みを作ることになった。米炊きは自分の仕事。3人が持ち寄った米を回収し、キッチン下の収納スペースにしまう。
と、不穏な文字が。
「北海道 はくちょう もち」
「もち」??????
誰が持ってきたかはここでは言いません。ヒントは、女子です。
10/9
6:00
♪もう今は彼女はどこにもいない 朝早く目覚ましがなっても~♪
朝からなんかうるさいな。起床して朝スイムへ向かう。
6:30
スイム会場で試泳。まだ月曜だというのに、相当の数の人がいる。
200mほど沖にでると、やや大きめのボートが浮いているはず。そこでは熱いコーヒーが配られていて、朝の一杯にもってこいだ。探しているのだが、見当たらない。
エース「疲れたね」
ぽん「あがりましょっか」
佐相「うぃっす」
それを見計らったように現れるコーヒー船。全員にダメージ30。
↑Athlete Xの使い方を解説するエースを撮影する佐相おじさんをぽんさんが撮りました
9:00
一旦宿に戻って朝食を済ませた後、3人のバイクを積んでQueen Kへ。漆黒の溶岩。青空。海。その中をまっすぐに走る道路。自分の中で、ハワイってこういうところだ。しかし、1つ難敵が。
ぽん「DHバーがもてません!泣泣」
エース「推進力を絶やさない!」
風が強い。コナウィンドというやつだ。
地形柄、恒常的に風が吹いているのだが、年による強弱は存在する。少なくとも2年前よりは強い
30kmだけ試走、車を回収して宿に戻る。昼食を摂って、15時からはエキスポに向かうのだ。
17:00
目が覚めた。今、西川のマットレス「AiRポータブル」の上で寝っ転がっている。東京の自宅に危うく強制送還されそうなところを無理やり連れてきたあいつだ。昼飯を食べ終わり、30分だけ休憩しようとして横になったところまでは記憶があるのだが・・・。恐る恐るリビングの扉を開ける。
佐相「おはようございまーす・・・」
ぽん「zzz」
エース「(ポチポチ)」
ぽんさんは爆睡、エースは何かに取り憑かれたようにSNSへの投稿を執筆。よかった、置いていかれてなかった。
2日目が終了。我々は重要な教訓を得た。「予定を詰め込みすぎないこと」
こうして、毎日の夕食の後には3人でその日を振り返り、教訓を得て、次の日の予定をたてるようになりました。
つづく