佐相宏明です、はじめまして。

学生トライアスリート佐相宏明の試行錯誤の記録です。

「おれら、おじさんだね・・・」ー2017年夏合宿

毎年恒例のチーム夏合宿、気づけば同期が自分を除いて3人、完全におじさんポジションである。ある界隈では「さそうおじさん」と陰ながら呼ばれているらしいがこのままだと来年あたりチームでもこの呼び名が広がってしまう恐れがある。

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今年のメニューはほとんどがトライアスロンであった。距離とコース、ドラフティングの可否のバリエーションがあるものの、基本的にはスイムバイクランのセットでのメニューだった。

自分よりスイムが速い選手がチームに5人いるのだが、一番速い選手とは100m10秒以上の差がついてしまう。ここまでの差があると一口に「トライアスロン」と言っても全く別のスポーツになってしまう。このスポーツはサバイバルゲームで、スイムを先頭集団で上がり、バイクで脱落しなかった者が、ランで勝者を決める。スイムで100mあたり10秒も差があると、陸に上がる頃には蚊帳の外に追いやられてしまう。

とは言っても前を追うことになるのは競泳外出身者の宿命のようなものなので、Max800W+HR186/191なんていう超高強度なバイクパートになる。

https://connect.garmin.com/modern/activity/1919626646

こうやって必死なときこそ動きの精度が出ると思っている。ペダリングダイナミクスでパワーゾーンを見てみると、上死点直後から力が入りだし、下死点以降で力が抜けているととがわかる。もっと早く力を抜かないといけないんだな。ピークのかかり方はいいと思う。ローラーで改善するのが模範解答なんだろうが、実走と感覚がかなり違うように感じるのでペダリングの修正は難しい作業だ。

 

最初のセットのランは1.2km。前が見えているから全力で追うのだけど、1ヶ月以上ぶりの高強度に身体がびっくりしてしまったようで、脚が攣ってしまった。ゴールした後は鈍い頭痛が走る。どうやら酸欠のようだ。

 

 

この合宿に参加するにあたって心配だったことは、高強度の練習に身体が対応できず、メニューがこなせない可能性があることだった。7月半ばのレースの疲れを引きずってしまい、合宿の2日前の時点では25km5分程度のペースで走るのがやっとだった。それも直前の3日間を完全休養に充ててのことだった。

 

しかし結果的には杞憂に終わった。最初の一本の直後は頭痛が出たけど、本数を重ねるに連れて身体が動きやすくなっていくような感じがあった。まるで身体が「順応」しているかのようで面白い現象だった。

 

1日目と3日目の同じコース・距離のランを比較すると、上下動が小さくなって、接地時間が短くなり、より高い心拍数を維持できるようになっている。ストライドが大幅に短くなっているが、これは外れ値に引っ張られてものであろう。ケイデンス1分あたり180歩を超えていて、非常にテンポよく脚が前に出ているようだ。ランの時に何を意識して走ればいいのか、未だによくわからないが、メトロノーム機能でこのテンポを再現してみよう。

 

https://connect.garmin.com/modern/activity/1919625073

https://connect.garmin.com/modern/activity/1926835499

 

2日目の午後のみ座学・室内トレーニングを行った。Lifeblood鍼灸マッサージ院の谷本卓也先生、宮城康司先生、中央医療健康大学校の仲川浩史先生にスタッフとして帯同していただき、補給やトレーニングに関するレクチャーと、実際に筋力トレーニングを行っていただいた。雨の中合宿所の一室で40名以上の集団が奇声を上げる光景はまさに異様の一言だった。先生方が作成した資料の中にはエース栗原さんのメッセージも含まれていたのだが、1年生を中心に半数近くの選手は初見だったことをここに記しておこう。またトレーニング後には選手の身体のケアを行っていただき、1日に延べ20名以上を診ていただいた。中にはバイクで落車する選手も出る中、専門知識を持った先生方に帯同していただくと安心の一言である。

 

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きつかった3日間が終わると最終日を前にバーベキュー、焼きマシュマロが美味しかったとさ。あと飯の盛り方には注意します。

 

例年にもまして今年の夏合宿は激しかった。昨年は3日目あたりで力尽きてしまっていたけど、今年は最後までメニューをこなすことができた。一方でシーズン中の疲労の蓄積からか身体が動いていない選手もいて、今年身体がちゃんと動いているといっても競技力辞退が向上しているとは判断できないとも思う。チームのメンバーはインカレ、自分はアイアンマンハワイという大きいレースを控えての合宿だったので、ありきたりではあるが怪我や事故がなくて本当によかった。

 

 

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「いのちをだいじに」→「ガンガンいこうぜ」→「すてみのかくご」(new!!)

トラブルが発覚してまず最初に心配したことは、再び走ることができるか否かであった。仮にフレームなどの換えの効かないにパーツに異常があった場合、レースに復帰することは不可能だ。交換可能なパーツのみの故障であっても、交換パーツが用意されているとは限らず、復帰できるか非常に不安な心持ちだった。しかし日本で一番長い歴史を誇る大会だけあって、しっかりスペアホイールが用意されていた。メカニックの方々にチェーンを交換してもらい、ハンガーの曲がりも直してもらって、再スタートが可能になった。トライアスロンとは本来自力での完走を目指すものであって、本来ならこの時点でリタイアを選択せざるを得なかったのだろう。レース復帰させてくれたメカニックの方々や地元ボランティアの方々には頭が上がらない。

 

ただこの時点で先頭とは1.5時間以上の開きがあり、順位を求めることはもはや不可能である。純粋に順位だけを求めてレースをするのであれば、ここでアンクルバンドを返すのだろう。だがどうしてもフィニッシュラインを切りたいので、走ることをやめる選択肢はなかった。

走るとなったらテーマを設定する必要がある。一回レースを完走すると、その後2週間はトレーニングを中断することになる。レース前も3週間ほどトレーニングの量を落としているので、合計5週間のトレーニングを犠牲にしている。それだけのコストを払っているので、レースから何らかのリターンを得る必要がある。

そこで、タイムロスを埋めるべく前を追う状況を想定する。例えば、また順位を求めているレースで機材トラブルに見舞われることもあるだろう。タイミング悪くペナルティを取られてしまい、テントで10分間待機しなくてはいけなくなるかもしれない。スイムの遅れを取り戻さなくてはいけない状況もあるだろう。リスクを取って、前を追わなくてはいけない状況なんてこの先いくらでもある。「がんがんいこうぜ」を超えて「すてみのかくご」である。

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復帰したあとのワット数のデータを見てみると、10kmごとのNPがその後100kmまで230Wを超えていているし、Garmin Connectのセグメント機能で、ある特定区間のラップのみを比較しても、順位はなかなか良好だ。

しかし120km過ぎたあたりから脚が売りきれている感じがしたので、やはりNP230Wではオーバーペースなのだろう。15kmおきにPowerGelで補給し、90分おきにTopSpeedを注入していたので、エネルギー不足ではないだろう。200Wだとラクすぎる感じもしたから結局70%FTPの210W 付近なのかなという気もする。春先とは身体面でのコンディションが大きく異なる気がするので、もう一回FTP計測し直さなきゃダメだ。

 

皆生バイク

Garmin Connect

 

ダウンヒルでの落車に注意しながらバイクを無事終えてランへ。足袋のような形をしているリアラインソックスを履き、クラウドサーファーに足を入れる。長い距離を走るならこの組み合わせが一番良いと感じる。3分半/kmを切るような走り方をするのでなければ、42kmを走るときにはこのシューズが一番足に合う。皆生のランコースは市街地を抜けて境港まで約21km、行って帰ってくるだけのシンプルなコースだ。アップダウンらしきものは殆どないが、唯一国道沿いの歩道は緩くて長い傾斜がある。交通規制をしていないので、幹線道路を渡る際には陸橋を使う地点もあるし、細い道路を横断する際にも信号で止まらなくてはならない。こういった交通上の要注意箇所では複数のボランティアの方が誘導してくれるし、2kmおきのエイドにも20人近いスタッフが配置されている。私設エイドも多い。沿道の日陰でベンチに座って観戦しているお年寄りもいるし、タープの中から声援を送ってくれる大集団もある。走り甲斐のある大会だ。

 

開始数キロは3分おきくらいに信号に捕まる。「捕まる」とは言ったもののこれは「休憩」だと思っている。42kmぶっ続けで走るよりも、1kmに10~20歩程度歩いた方が合計タイムは縮まると思っている。エイドでも足を休め、身体を冷やしたり水分、PowerGelを補給する。この大会で深刻な脱水状態に陥るようなことがあると、夏を棒に振る可能性もある。これだけは避けたいものだ。

順位を追うレースではなくなっているので、トレーニングの成果を確認する場になる。合言葉はここでも「すてみのかくご」だ。走っているときのペースは4分30秒を切る程度、宮古島のときに比べればかなり快適だし速くなっている。まだまだ「速い」とは言い難いペースだけど、確実に改善している。

20km過ぎのエイドでは「待ってたよ!」と声をかけてくれる人がいたり、母の友人の姪が車から名前を叫びつつ手を振ってくれたり、走り続ける選択をしてよかったなと思う。同時に、これが順位を争っているポジションだったらどれだけ幸せだったかとも思った。

しかし折り返してしばらくすると、徐々に苦しくなってくる。それでも5分/km付近で粘りながら進み続けるが、30km付近で右足に痛みが出てしまい、序盤のツケを払うことになる。そこからは大幅にペースダウンし、なんとかゴール。中盤までの走りを振り返ると3ヶ月前よりも遥かに走れるようになっているけど、足への負担が大きすぎる。その結果30kmで少し痛んでしまったと思っている。もっと力を抜いて走れるようにならないといけない。

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宮古島のデータと比較すると、まずストライドが10cm程度伸びているのが確認できる。骨盤の可動域が広がって、より全身を使って走れていることが示されていると解釈している。実際、潰れてしまうまでの走行距離は明らかに延びていた背骨の柔軟性を改善するトレーニングが功を奏したのだろう。見てびっくりだったのは心拍数で、宮古島の方が10bpmくらい高い。どんだけきつかったんだ。ランニングの左右差も改善されていて、宮古島では48-52くらいだったのが、皆生ではほぼ50-50になっている。値の差は小さいけど、サンプル数が多いので誤差ではないだろう。ただ上下動はまだまだ大きくて、Garminさんの言葉を日本語に訳すと「走り方がなってない!」。 

 

皆生ラン

connect.garmin.com

今までの大会ではトラブルらしきトラブルに巡り合ったことがなかったので、そういう意味で非常にいい経験だった。また気持ちをすぐ切り替え、別の目標を設定できて、その中でトレーニングの成果を確認できたのもよかった。ただ回収するタイムを具体的に設定するべきだった。レース中はどこかでセーブしないと、大幅にペースダウンして、ツライ思いをすることになる。この3ヶ月はバイクに乗る時間を大幅に削ってスイムとランに取り組んできたので、このバランスをもとに戻してもいいかもしれない。

 

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なにはともあれ回復が最優先事項で、レースから10日以上経ってこの点はクリアしたようだ。期末試験も終わったので、ぼちぼちトレーニングに復帰します!

 

 

一年ぶりの皆生。

7/16「全日本トライアスロン皆生大会」

 

合計10時間50分54秒(総合167位)

スイム3.0km/44分08秒(8位)

バイク140km/5時間49分12秒(456位)

ラン42.2km/4時間17分34秒(112位)

 

昨年に引き続き全日本皆生大会に参加した。また表彰台に乗りたくて臨んだ大会だったが、バイク28kmでのメカトラにより順位を求めるレースではなくなった。レースにトラブルはつきもので、もしこのメカトラがなくても別のアクシデントに見舞われたり、脱水などのトラブルに遭遇していたかもしれないと思うようにしている。メカトラからの復帰をはじめ、様々な人の手助けのおかげでなんとか完走でき、またトレーニングの成果も確認できたので、トラブルから復帰して炎天下の中で長時間レースをするという選択は悪くなかった。

 

 

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暇な学生の特権を行使して飛行機で木曜入り。もっともこの大会は土曜入り→月曜祝日帰りができ、スケジュール面での負荷が小さい。社会人になってからも出られるロングの大会の筆頭だろう。

 

木曜日は持ち物の確認や、近くのスーパーでの買い出しをする。大会本部は駅から徒歩3分、ビジネスホテルや量販店、飲食店も充実していて、離島での大会に比べてレース前の時間を過ごしやすい。金曜日は朝から少しだけバイクに乗り、地元のテレビ局の方と話をして、夕方には生放送に出させてもらった。その際に紹介してもらった大連という中華屋はトライアスリートが集まることで有名だそうで、良心的な価格設定とボリューム、そして優しい味が特徴だ。駅前には居酒屋が多いけど、レース前に食事をするところに困っていた。結局、金曜夜、土曜昼、土曜夜と、3食も通うことになる。

 

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土曜日は登録と開会式、出場するチームメイトはここで合流する。今回は招待選手ということで最前列に座ったのだが、なぜかやつらはその後ろの「招待選手家族席」に座ってニヤニヤしていた。終始ニヤニヤだった。

 

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周りを見渡すとやはりそうそうたるメンバー。昨年3位の谷選手を除き、2位の嶋選手を始め表彰台勢が勢揃い。優勝の最有力候補は過去2回優勝の吉村選手だろう。また一般参加選手でもラン3時間を切る選手が複数いるということで、レベルの高いレースになることは間違いない。

 

当日は4時起きでレース会場へ。会場まであと1kmというところでチームメイトがパンク、会場到着後に修理中にチューブを破裂させてしまい大爆音が響く。会場が一瞬騒然とする。自分ともう1人のチームメイトは腹を抱えて笑う。身を挺して緊張をほぐしてくれるとはなかなかやるもんだ。

この1週間は特に睡眠を多くとるように気をつけてきて、安静心拍数は40を切る日が続いていた。しかしレース当日は45ということで、やや倦怠感もある。前日夜の食事が少し多かったか。レース前の体調管理には細心の注意を払うもので、特に今回からは西川AiRのポータブルマットレスを持ってきている。自宅で使用している据え置きタイプと遜色ない眠り心地で、これはいいと思った。

 

スタートの40分くらい前に入水しウォーミングアップ。水温が高くロングジョンの選手も多く見られるが、Hi-RIDGEのオーダーメイドツーピースフルスーツで挑んだ。スイムにかかる時間は45分程度であり、適切にケアをしていれば熱がこもって脱水する心配もない。どうしても暑ければ、集団に対する位置を見て折り返し上陸地点で一回水を流し込んでもいい。フルスーツの方が浮力面でのメリットが大きいし、肩まわりの可動域は十分に確保されている。背泳ぎをしてみると、身体の前面で非常にスムーズに肩が回ることに気がつける。

 

海水でのレースということもあって立ち泳ぎはそこまで苦にならない。独特の緊張感の中、スタートホーンがなって先頭から2列目でスタートする。前にいるのは吉村選手なので、間違いなく自分の前のスペースが空くポジションだ。スタートから200mの第1ブイを回るころには大分集団が小さくなり、海岸線と平行に泳ぐ区間に入ると5人程度の集団になる。1,2番目をラクなペースで泳ぎ、落ちてくる人を拾っていく。進路が120度転換し、浜が近づいてくるころに河原選手を確認、まずまずのペースである。折り返し地点では20分台と想定通りのペースで後半戦へ。2000m手前で後ろから追い抜かれ、余力があったのでこの選手についていく。一緒にスイムアップすることはできなかったが、もともといた集団とは30秒ほどの差をつけることができた。Hi-RIDGEウェットスーツを脱ぎ、薄い靴下を履きながらTopSpeedとPowerGelを補給する。トランジットで1名を回収しバイクに飛び乗る。

 

タイム面では昨年度の皆生大会とほぼ同じだが、ロスが少なかったように感じている。昨年はバイク序盤で気分が悪く、レース続行ができるか大いに不安だった。宮古島大会のデータと比較すると、ペースをややあげることができた(1’32”/100m→1’30”/100m)上に、平均心拍数を3%程度下がっている(183bpm→178bpm)。バイクとランを後ろに控えながらも、レース展開を左右する役割を担っているのがスイムパートであり、「力を使わずに」「速く」泳げる状態に近づいていることは大きな前進である。

 

 

バイク後半70kmは長い上りと下りを繰り返す。それに比して前半70kmは「平坦」と表現されることもあるが、実際にはこちらもかなり骨の入ったコースだ。

今回の方針を一言で表現するなら「がんがんいこうぜ」である。今までは常に「いのちをだいじに」だった。しかし3ヶ月後のハワイでそんなことを言っていたら順位を争うようなポジションでのレースはできない。なので、今回、特に後半70kmではある程度のリスクを負ってでも、しっかりと前を追っていく。例えば下りではトップチューブに座るタイプのDHポジションをとるし、上りで少し高い出力が出ても維持していく。

とは言いつつもバイク開始直後から飛ばしていくのは無謀なので、PowerGelの梅味とレモンライム味で補給しつつ、実際の出力と感覚をすり合わせることに努める。推定FTPは300W弱なので、前半区間の目安は200Wある。同じ出力でもスピードが出るポジションを確認しながら進んでいく。

およそ28km地点、ここで前の河原選手が近づいてきた。バイク乗車直後に追い抜かれてしまい、およそ20秒程度差が広がっていたが、このままなら回収できそうだ。そして下りが上りに切り替わったその時だった。出力を上げた瞬間、明らかに異常な音がして、ペダルからの反動にも変化が出る。ホイールの回転ごとにカラカラと音がするし、チェーンからも異音がする。後輪を見ると、ディレイラーがあらぬ方向を向いている。迷わず停車、チェーンが離脱し、ハンガーも歪んでいる。後に判明するスポーク折れと併せて、自力での修復・レースへの復帰が到底困難と判断し、オフィシャルメカニックの方の到着を待つことにする。停車するや否やボランティアスタッフの方が駆けつけてくれ、本部に電話連絡を入れてくれる。休憩可能なポイントまでに徒歩で移動すると、近隣住民で応援してくれている方々がぞろぞろと集まって来てくれる。30年近く大会観戦してくれているおばあちゃん、旦那さんが皆生出身で、出産に併せて義理の実家に戻っている臨月の妊婦さん、農作業の傍らで沿道にかけつけてくれる農家さん、地元の方が協力してくれていることをひしひしと感じる。知り合いが出ているという人もいたが、イベント自体を受け入れてくれ、自分たちも楽しみながら、盛り上げてくれていると感じた。こんな機会なんでーと1.5時間の待ち時間中に集合写真も撮った。

 

この地域にトライアスロンが根付いていることを実感できた時間であったが、同時に大会が地域の機能に支障をきたしていることを再確認した。その上でもイベントを受け入れてもらえるよう、選手には選手なりの努力が必要だと思う。

例えば交通規制をすれば渋滞が発生するし、規制区間で商売を営んでいるような人にとってこんな迷惑な話はないだろう。地元の警察、消防に協力を要請するのであれば地元の安全維持や救命機能を犠牲にすることになる。

そういう状況で選手ができる地域への貢献として真っ先に挙げられるのは、その地域でお金を使うことだろう。レース後に温泉に浸かり、美味しいものを食べてから帰るのはせめてもの地域への還元である。土産物を買い込んで、その地域のPRに貢献するもよし、レースとは別の機会に観光で訪れるのもよしだ。

 

メカニックの方が駆けつけてくれ、遂にレース復帰可能な状態になる。この時点で既に1時間半を失っており、順位争いをするのは絶望的である。この先どうするのか、選択に迫られていた。

 

つづく

背中の動きを補正してもらったらプルが10秒速くなった話

トレーニングの中には使えていない部位を使えるようにするタイプのものとパフォーマンスを上げるものの2種類があるらしい。「-→+」と「+→++」ってイメージだろうか。

例えばこの数ヶ月取り組んでいるスクワットを中心としたメニューは後者。宮古島後も自主トレーニングの一貫として継続していて、例えば使うギアが変わったりという成果が出ていて、5%以上の登坂でもアウターチェーンリングを無理なく使えるようになっている。後からデータを振り返るとき、サイクリスト頻出地域で乗っていると「セグメント」機能が役に立つ。任意のユーザーが設定したある区間を通過した時、かかったタイムや標準出力を自動的に集計して他のユーザーと比較してくれる。乗っているときに表示するかどうかは選択可能なので、気が散るのなら設定を変更すればいい。

 

https://connect.garmin.com/modern/activity/1739831500

 

・・・みんな速い!

 

とまあこんな感じの午前中を過ごし、午後は飯田橋Lifeblood鍼灸マッサージ院で治療とトレーニング。

治療院で最近組んでもらっているメニューは「-→+」のタイプで、特に背中の動きを補正することに重点が置かれている。例えば運動療法リアラインコアを使った可動域の拡張だ。小さい頃から猫背がちだったり長座体前屈の姿勢では脛あたりで手が止まってしまったり宮古島では谷本先生がびっくりするくらい背中が使えていなかったり、色々問題を抱えていたらしい。

 

このトレーニングをやってびっくりしたのは、プルが100mあたり10秒も速くなったこと。もともと大の苦手で100m140秒とかだったのだが、背中の可動域を改善するだけで130秒で回れるようになった。びっくり。びっっくり。今までの努力は何だったんだろう。先生にめっちゃ笑われました。

 

トレーニングの後は問題を抱えている箇所を重点的に治療していただき、鍼を打っていただいて西川のAiRの上で爆睡・・・。整えてから動くこと、動いた直後に整えてもらうのは最高に贅沢なトレーニングだと思う。一番いい状態で身体を動かせるし、問題があった場所に即座に手を加えてもらえるということだから。

 

湿度が低いまま気温が上がってくるこの時期、何事もはかどりますね。ずっとこんな気候でいてくれると助かるんだけども。

 

読んでくれてありがとうございました!

「よーいどん!」ー宮古島遠征記2

午前7時、号砲を合図に1700人の選手が一斉に海へ飛び込む。全カテゴリー一斉スタートはこの大会の大きな魅力だ。スタート直後の混乱を回避する目的でローリングスタートやウェーブスタートが採用される大会では、1つのレースを共有している感じに欠ける。よーいどんで一斉スタートが一番好きだ。

ウェットスーツは着用許可。フルスーツが多いが、ロングジョンの選手や未着用の選手も散見される。この水温の大会ではスイム中の脱水の危険性が低いだろうからフルスーツのメリットは大きいだろう。水着で参加した前日試泳とうってかわってHi-RIDGE製フルオーダーメイドの2ピースウェットスーツで泳ぎだす。よく浮くというウェットスーツのメリットを受けながらも、肩周りの動作は普段通りに水着で泳いでいるよう。首周りの素材も柔らかくて、ワセリンを塗らなくても海水がしみるようなことはない。参加人数の割に狭い浜辺、意外にもバトルは少ない。つぶしあいに巻き込まれることもなく順調に泳いでいるつもりだったが、1200m付近で見えた隣選手の番号は、自分より泳力に劣る選手のものだった。バトルに巻き込まれて出遅れたオーストラリアのエリート選手が後ろからやってきたのでペースアップ、うまく抵抗を減らしながらついていく。前半は強めの向い波だったようで、ターン以降は泳ぎやすくなる。例のオーストラリア人に合わせて、後半ペースを落とした人を順調に回収、残り1/3程度は波に乗るような形になってスイムアップ。直後にGarminを確認すると46分。想定タイムは45分だったのでまずまず。

 

https://connect.garmin.com/modern/activity/1699333731

 

スイムのデータはこちら。やはり最後1000mのスピード・1ストロークあたりの距離が伸びている、追い波だったんだろう。心拍数は終盤までほぼ一定、最後に少し上がってしまうのはバイクの集団を意識するから仕方ない。ケイデンスもほぼ一定。中盤から泳ぎが汚くなる感覚があったので、どこかの数値に反映されているんじゃないかなと思う。スタート直後に適切な集団を掴むのならペースがV字を描くほうようにする必要がある。以前のリザルトから判断して同程度のスイム力を持つと推測される選手が1分ほどはやくスイムを終えている。レースの流れに乗る力はまだまだだ。

 

 

長いトランジットを抜けてバイクに乗車。FTP=297wなので、保険をかけて巡航出力は200wとしていた。あくまで目安なのでレース展開に併せて適宜変更していく。この判断が難しい。バイクの実力を高く見積もってしまい、後半につけを払うことになったレースは多い。20km過ぎ、先頭でペーシングするとちょうどよさそうな(合法的な)集団を発見。以降はこの選手たちと長旅をすることになる。

今回の収穫は補給がうまくいったことだった。気候条件がよかったことと、補給ペースが掴めてきたことが要因だと思う。前半の90km付近まではPowerGelレモンライム味を中心にカフェインが入っていないジェルを15kmに一本ずつ摂取する。それ以降は20kmおきに1本。ランスタート時には消化が終わっているようにするよう心がける。エイドで受け取る3本のボトルはスポドリと水を1本以上ずつもらうようにして、かけ水と飲み水・塩分を確保する。気温と湿度がもっと高い大会では一箇所につき4本のボトルを受け取ることが理想だ。他にも、種々のトラブルに適切に対応できた点がよかった。サドルの締め具合が微妙にまずかったけど手遅れになる前に対処できたし、携帯ポンプをレース中に紛失してしまったが幸いパンクすることもなくバイクアップ。この時点で17位、後半のペースダウンが少し痛い。

 

 

数名をパスできたT1とうって変わって、T2ではしっかりと時間を使う。後続の選手の到着を告げるアナウンスに急かされるような感じがして、持つべき補給を持たぬまま出発してしまったりといったミスが多かった。T2で処理すべきものをシューズの中に入った状態にして受託バッグを預けるようにしたら、こうしたミスが減った。クラウドサーファーの中に入っているものを一つずつ片付けていく。足首のアーチを維持してくれるリアラインソックスを着用。カフェイン入りのPowerGelグリーンアップル味をウェアに移す。日焼け止めを塗る。バイザーをつける。ようやっと最後の42kmがスタート。クラウドサーファーとリアラインインソールに支えられて身体が自然と前に出る感じがするが、12km付近から徐々に足取りが重くなっていく。

 

https://connect.garmin.com/modern/activity/1699333787

 

1時間半を経過する頃には心拍数を維持することが厳しくなっている。上下動とペースは同じようなタイミングで変化している。アップダウンの続くコースに脚を削られて折り返しの頃には完全にダウン。沿道で声を枯らして応援してくれる人に背中を押され、4時間以上かかってようやくゴール。谷本先生によれば背骨の使い方に解決の緒があるよう。昔から猫背気味なので、背骨の使い方が甘いまま22年間を過ごしているのかもしれない。リカバリー明け以降のトレーニングでしっかりと対処していきたい。

「なんで味ボヤけんだよ!!」-宮古島遠征記1

今回の宿はマンションタイプのコンドミニアム。普段の遠征ではビジネスホテルに泊まることが多いが、滞在が長期に渡ったり複数の人間が泊まる場合にはキッチン付きのコンドミニアムのほうが好ましいと思う。生活感のないところで何日も過ごしていると調子が狂うし、複数人で泊まることで出費を抑えることもできる。

 

 

宮古島遠征ではLifeblood鍼灸マッサージ院の谷本先生にトレーナーとして帯同してもらい、直前コンディショニングと自炊のいろはを仕込んでいただいた。自称「神の舌をもつ男」、作る飯が本当にうまい。合流して早速向かったドンキホーテから帰って来た我々の両手には食材の山。この山が先生の手にかかれば、チキンのトマトソース煮込み、豚丼、チャンプルーに化けていく。

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毎食栄養たっぷりのご飯をいただくことができました。僕が自炊をすると栄養が偏りがちになるのではと心配してくれたそう。

 

まるでお母さん。

 

普段の食事とは異なるものを食べることになりがちなので、レース前の食事はとても大事、人によってはとても敏感だったりする。個人的には食事内容と同様に食事の時間を気にしていて、就寝時に消化が終わっているようにしたい。胃袋にものが入った状態で寝ると、翌朝起きた時に胃もたれがする感じがある。こういうときは大抵レースの後半で胃腸に不具合が出てしまう。聞いた話によると内臓が回復するのは就寝中だそうで、しっくり来る。

食事は糖質、脂質、タンパク質やビタミンなどのバランスがとれた普通のメニュー、沖縄にルーツがある谷本先生は現地の食材をよく知っているようで色々と教えてもらう、こっちでは「スパム」として売られているものは「ポーク」と呼ばれていた。ジーマミー豆腐はもっちりとしていて本当に美味しい。我々の会話の8割はご飯に関することでした。レース前日に至っては朝飯が終わるや否や昼飯の仕込みが始まるありさま。洗濯機やお風呂は部屋に備え付け、掃除サービスも断ってできる範囲で自分たちでこなす。こういった日常の中ででレースを迎えられるのはとてもいいと思う。

 

現地に入ってからの運動は3種目1回ずつ程度。スイムは前日に水温と目印になるものを確かめにいった。波の向きは日によって変わってしまうこともあるらしいので、あまり気にしない。バイクは動作確認の意味を込めて6km程度、そのうち3km程度は1kmのスプリント、しっかり心拍数を上げる。ランも短い距離を高い強度で少しだけ走り、最大心拍付近まで出るようにする。身体を休めたい一方で、レース中に心拍数高くなっても身体がびっくりしないようにするためのメニューをこなす。身体を動かし終わった直後PowerBarプロテインプラスでタンパク質と糖質を補給、回復を促す。

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(バイクに落書きされそうになったのは初めて)

 

 

レースの前々日と当日の朝には、谷本先生に治療を施してもらう。外れていた足首をはめなおし、肩の可動域も広げてもらう。肩関節は、周囲の筋肉が絶妙なバランスで組み合わさることで自由自在な動きを実現しているらしく、偏りを是正してもらうとヌルヌル動くようになる。まるで注油したよう。施術してもらうと足の親指-拇指球のラインがしっかり地面を踏みしめられるようになる。足首の動きを補助するためにKTテープも巻いてもらい、同じホテルに泊まっていた選手と合計4人でレンタカーで会場入り、長い1日が遂に始まりました。

 

(続く)

今回の1ページ

レースナンバーのゼッケンをスクラップしている。70とか80になった頃にペラペラめくろうと思っている。

2017年最初の1ページが埋まりました。

 

2017年423

全日本トライアスロン宮古島大会

合計9:31:46 (総合52 年代別3)

スイム3.0km47:01(27)

バイク4:31:43(17)

ラン4:13:02(187)

 

バイク中盤以降のペースアップについていけずレースから離脱、ランで大失速して52位。ごぼう抜きされました、みんな速かった!

リカバリーの合間を縫ってレポート書いています、乞うご期待!

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