佐相宏明です、はじめまして。

学生トライアスリート佐相宏明の試行錯誤の記録です。

「いのちをだいじに」→「ガンガンいこうぜ」→「すてみのかくご」(new!!)

トラブルが発覚してまず最初に心配したことは、再び走ることができるか否かであった。仮にフレームなどの換えの効かないにパーツに異常があった場合、レースに復帰することは不可能だ。交換可能なパーツのみの故障であっても、交換パーツが用意されているとは限らず、復帰できるか非常に不安な心持ちだった。しかし日本で一番長い歴史を誇る大会だけあって、しっかりスペアホイールが用意されていた。メカニックの方々にチェーンを交換してもらい、ハンガーの曲がりも直してもらって、再スタートが可能になった。トライアスロンとは本来自力での完走を目指すものであって、本来ならこの時点でリタイアを選択せざるを得なかったのだろう。レース復帰させてくれたメカニックの方々や地元ボランティアの方々には頭が上がらない。

 

ただこの時点で先頭とは1.5時間以上の開きがあり、順位を求めることはもはや不可能である。純粋に順位だけを求めてレースをするのであれば、ここでアンクルバンドを返すのだろう。だがどうしてもフィニッシュラインを切りたいので、走ることをやめる選択肢はなかった。

走るとなったらテーマを設定する必要がある。一回レースを完走すると、その後2週間はトレーニングを中断することになる。レース前も3週間ほどトレーニングの量を落としているので、合計5週間のトレーニングを犠牲にしている。それだけのコストを払っているので、レースから何らかのリターンを得る必要がある。

そこで、タイムロスを埋めるべく前を追う状況を想定する。例えば、また順位を求めているレースで機材トラブルに見舞われることもあるだろう。タイミング悪くペナルティを取られてしまい、テントで10分間待機しなくてはいけなくなるかもしれない。スイムの遅れを取り戻さなくてはいけない状況もあるだろう。リスクを取って、前を追わなくてはいけない状況なんてこの先いくらでもある。「がんがんいこうぜ」を超えて「すてみのかくご」である。

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復帰したあとのワット数のデータを見てみると、10kmごとのNPがその後100kmまで230Wを超えていているし、Garmin Connectのセグメント機能で、ある特定区間のラップのみを比較しても、順位はなかなか良好だ。

しかし120km過ぎたあたりから脚が売りきれている感じがしたので、やはりNP230Wではオーバーペースなのだろう。15kmおきにPowerGelで補給し、90分おきにTopSpeedを注入していたので、エネルギー不足ではないだろう。200Wだとラクすぎる感じもしたから結局70%FTPの210W 付近なのかなという気もする。春先とは身体面でのコンディションが大きく異なる気がするので、もう一回FTP計測し直さなきゃダメだ。

 

皆生バイク

Garmin Connect

 

ダウンヒルでの落車に注意しながらバイクを無事終えてランへ。足袋のような形をしているリアラインソックスを履き、クラウドサーファーに足を入れる。長い距離を走るならこの組み合わせが一番良いと感じる。3分半/kmを切るような走り方をするのでなければ、42kmを走るときにはこのシューズが一番足に合う。皆生のランコースは市街地を抜けて境港まで約21km、行って帰ってくるだけのシンプルなコースだ。アップダウンらしきものは殆どないが、唯一国道沿いの歩道は緩くて長い傾斜がある。交通規制をしていないので、幹線道路を渡る際には陸橋を使う地点もあるし、細い道路を横断する際にも信号で止まらなくてはならない。こういった交通上の要注意箇所では複数のボランティアの方が誘導してくれるし、2kmおきのエイドにも20人近いスタッフが配置されている。私設エイドも多い。沿道の日陰でベンチに座って観戦しているお年寄りもいるし、タープの中から声援を送ってくれる大集団もある。走り甲斐のある大会だ。

 

開始数キロは3分おきくらいに信号に捕まる。「捕まる」とは言ったもののこれは「休憩」だと思っている。42kmぶっ続けで走るよりも、1kmに10~20歩程度歩いた方が合計タイムは縮まると思っている。エイドでも足を休め、身体を冷やしたり水分、PowerGelを補給する。この大会で深刻な脱水状態に陥るようなことがあると、夏を棒に振る可能性もある。これだけは避けたいものだ。

順位を追うレースではなくなっているので、トレーニングの成果を確認する場になる。合言葉はここでも「すてみのかくご」だ。走っているときのペースは4分30秒を切る程度、宮古島のときに比べればかなり快適だし速くなっている。まだまだ「速い」とは言い難いペースだけど、確実に改善している。

20km過ぎのエイドでは「待ってたよ!」と声をかけてくれる人がいたり、母の友人の姪が車から名前を叫びつつ手を振ってくれたり、走り続ける選択をしてよかったなと思う。同時に、これが順位を争っているポジションだったらどれだけ幸せだったかとも思った。

しかし折り返してしばらくすると、徐々に苦しくなってくる。それでも5分/km付近で粘りながら進み続けるが、30km付近で右足に痛みが出てしまい、序盤のツケを払うことになる。そこからは大幅にペースダウンし、なんとかゴール。中盤までの走りを振り返ると3ヶ月前よりも遥かに走れるようになっているけど、足への負担が大きすぎる。その結果30kmで少し痛んでしまったと思っている。もっと力を抜いて走れるようにならないといけない。

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宮古島のデータと比較すると、まずストライドが10cm程度伸びているのが確認できる。骨盤の可動域が広がって、より全身を使って走れていることが示されていると解釈している。実際、潰れてしまうまでの走行距離は明らかに延びていた背骨の柔軟性を改善するトレーニングが功を奏したのだろう。見てびっくりだったのは心拍数で、宮古島の方が10bpmくらい高い。どんだけきつかったんだ。ランニングの左右差も改善されていて、宮古島では48-52くらいだったのが、皆生ではほぼ50-50になっている。値の差は小さいけど、サンプル数が多いので誤差ではないだろう。ただ上下動はまだまだ大きくて、Garminさんの言葉を日本語に訳すと「走り方がなってない!」。 

 

皆生ラン

connect.garmin.com

今までの大会ではトラブルらしきトラブルに巡り合ったことがなかったので、そういう意味で非常にいい経験だった。また気持ちをすぐ切り替え、別の目標を設定できて、その中でトレーニングの成果を確認できたのもよかった。ただ回収するタイムを具体的に設定するべきだった。レース中はどこかでセーブしないと、大幅にペースダウンして、ツライ思いをすることになる。この3ヶ月はバイクに乗る時間を大幅に削ってスイムとランに取り組んできたので、このバランスをもとに戻してもいいかもしれない。

 

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なにはともあれ回復が最優先事項で、レースから10日以上経ってこの点はクリアしたようだ。期末試験も終わったので、ぼちぼちトレーニングに復帰します!